『京都の家』
自然素材と、工業化された製品の違いは何かをずっと考えている。
感覚的ではなくうまく説明できる言葉を。
ある本ではそれを『ゆらぎ』という言葉で表現されていた。
「銅板」は、雨に打たれ色が変わる。雨の当たり具合により色がまばらになる。
「瓦屋根」は焼き具合による色むらがあり、一枚一枚同じようにとりつけても均質ではなく多少のズレが伴う。
「柿渋」は木の種類により、濃淡が生まれ、均質な色にはならず、経年変化も進行速度もまばら。
「左官」の土壁は4層塗り重ねることで奥行きが生まれ、職人の手により微妙なバラツキが生まれる。
(吹付のスプレーガンを使う場合はこのバラツキは生まれない。)
この、ばらつきや不均一、微妙なズレを総じて『ゆらぎ』と言うらしい。
均一化を突き詰め、すべてをコントロールしようとする工業化された製品は
行き過ぎると息苦しくなる。
人は『ゆらぎ』を知覚し、それを拠り所に情緒や、落ち着き、居心地の良さを感じ取る。
辻・近川建築設計事務所Instagram