180112 「既製品」と「つくること」

『京都の家』

「既製品」のカタログを見ながら
これでお願いしますと、えらぶことが一番簡単で間違いがない。

工期も短くなれば、だいたいの仕様ではコストも下がる。
では既製品の組み合わせで良いではないかと話はなる・・・。

それでも「つくること」に意味を見出して頂けることで、未だに家具や建具を一からつくることができる。

では、「つくること」のメリットは何なのか?それをずっと考えている。

「既製品」の図面には、その置かれる場所の周辺の情報が描かれていない。
不特定の場所に置かれることを前提としている以上、まわりの情報があるとかえって混乱を生む。
その商品単体、設備機器であればそれに接続される配管程度の情報があれば
成立するように図面が描かれている。
つまり、その商品単体が独立して成立している。

一方、つくる場合。
その場所専用の仕様になるから
使う人の身長、置かれる物、他の素材との関係、照明器具を組み込むといった
その場に応じた仕様を決めることができる。
打ち合わせでは、監督、大工、建具、家具、左官、電気、設計士と関係する
工種が集まり、お互いの立場で意見を言い合いひとつの形が生まれる。
建具屋と家具屋が使う素材を共有したり、
大工が適切なタイミングを指示することで家具屋は余計な逃げを設けずに
ぴったりと壁の中に家具を納めることができる。

「既製品」は横のつながりを分断することで広範囲な場所に適応するのに対して
「つくること」は、その場に合わせる為に横のつながりを意識せざるを得ない。

結果「つくること」で生まれる空間には、全体として調和がとれた空気が漂う。

それを考えると「つくる」場合はひとつひとつが控えめであるべきで
調和を無視してつくってしまうと「つくること」のメリットが生まれないとも言える。

■洋と和で分断されないように「つくること」で全体の調和が保たれた
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辻・近川建築設計事務所
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by tsuji-chika | 2018-01-12 09:16 | 『京都の家』 | Trackback | Comments(0)
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