190817 南方熊楠記念館

南方熊楠記念館
現場の近くにあり、建て替え前から話題になっていた建築。

白浜の青い空の下、白いボリュームがピロティで軽やかに浮かび上がる。
曲線の階段を登っていくと屋上庭園があり、太平洋が視線の先に広がる。

ん!?これって・・・。
南仏はマルセイユにあるユニテ・タビタシオン(近代建築の巨匠:ル・コルビジェ設計)の構成ではないか。

樋の処理の仕方、屋上庭園の遊具的な丸屋根。
担当した建築家がどれだけ意識していたかは定かではないが
南仏と白浜というロケーションがどこかオーバーラップしていたのではないかと
勝手な推測をして建築を楽しんだ。

さすがに屋上にはプール(ユニテにはある)はなかったが、
その代わり1階まで届く、光井戸があったのはとても示唆的。
建築家が残したメッセージかもしれない。

さて、南方熊楠についてはその名の由来が、近所にある藤白神社の楠の木から
とったということもあり妙な親近感がある。

展示は菌類学者としてのすばらしい功績、資料などがみれ、建築に興味が無い方でもおもしろい。
また人となりがわかる展示もされており、
1日2回の食事、紅茶とアンパンを愛し、朝食はam11:00にといったことも新たな発見。
また、愛用の鉄亜鈴(てつあれい)も展示されていて勉強し続けるには体力も必要と人間的な部分も垣間見れる。

最後に、「読むということは写すこと」というメッセージ。
大英博物館に入り浸り、ロンドン抜書として52冊に及ぶノートに書物を書き写した。
挙句のはてに出入り禁止になったのも有名な話。
細かな字で書かれたノートを見るだけでも、帰ったらノートと鉛筆を用意しようという気にさせてくれる。(実際に用意した)
もし熊楠が、現代に生きていたらその書き写すということをしていただろうか?
Ctrl+Cでコピーして、Ctrl+Vでペーストすれば、52冊に及ぶ抜書きも一瞬にして終わってしまう。

書き写すには時間を要する。
強制的にその時間が作られ、断片的な知識が思考の表層にあらわれることが
熊楠にとっては重要だったのではないかと思う。
つまり、大事なことは書き写すという方法論ではなくて
得た知識を思考する時間ということではないだろうか。
現代の難しいところは、その隙間時間を狙って様々な誘惑が仕掛けられていること。

これは手描きと、CADがどちらが良いのかという問題
スケッチと写真を撮るのがどちらが良いのかという問題にも通じていて面白い。

■コンペ要綱には紀州材を使用することとあったがそれらしい仕上げはなかった
どこに使われていたのだろう・・・。
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辻健二郎建築設計事務所
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by tsuji-chika | 2019-08-17 15:13 | 和歌山県の風景 | Trackback | Comments(0)
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