『tke』
自然素材の魅力は『ゆらぎ』という言葉を使うと腑に落ちる。
針葉樹合板の節や木目は2度同じものはない。
塗装の濃淡や、モルタルの節跡、クラック、
足場板の収縮やコツコツとした足音、スギ板のかおり、
ガラスの反射やステンレス鏡面のドアノブの光
そういった予期せぬ変化や組み合わせをそこで過ごす人が無意識に知覚する。
一方、クロスや塩ビシートとなると
その知覚する情報が単調で床・壁・天井と三種類の組み合わせしか
知覚することができない。
そういった単調な空間というのは本来、不自然なはずで
ずっと過ごしていると息が詰まるというのも生理現象なのだと思う。
知覚する情報が豊で(決してガチャガチャしてうるさいという意味でない)
変化しているということが居心地の良い空間につながる。
テレワークが主体となりオフィス不要論が叫ばれますが
一方でオフィス側に『ゆらぎ』の仕掛けを作ることで来たくなる
環境になればと思う。
オフィスが不要なのではなく選択肢として自由な場所で働けると捉えると
『ゆらぎ』を仕掛けとして作ったオフィスの存在にはニーズがあると思う。




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