『m』
間取りを決める上で必ず必要な部屋として
便所・洗面脱衣・浴室・台所がある。
いわゆる水廻りと呼ばれるこれらの部屋は
通常、窓が付けられるように外壁側に張り付いて配置する。
そうなると、四角の建物だと1面ないし、2面が水廻りに使われてしまう。
台所以外の部屋は普段は出入口のドアが閉まっているので
リビングやダイニングなどから見るとそこは隔たれた壁となって
視界も通風も遮られる。
南側しか開放していない部屋というのは景色や空気の流れが単調になりやすく、
東や西、北にも視界が抜ける方が室内の雰囲気は豊かになる。
そこで、登場するのがコアプラン。
その代表格が
ファンズワース邸。
水廻りを中心に配置し建物の四方を開放することで周辺の環境に対して
広がりを持つ空間づくりが可能となる。
最近、賃貸を経験をされているお施主さんが多くなり
便所に窓はいりませんという方が増えてきた。
1畳の便所が、建物の外側に張り付く必要がなくなるだけでも
間取りの自由度が格段に増え、その分リビングやダイニングが豊かに計画できる。
築40年の『m』ですが、
1、2階の便所と脱衣所が建物の中央に配置され窓がない。
それとバーターに、動線が整理されリビングやダイニングの開放感を生み出している。
当時、それを計画に反映しお施主さんの理解のもと実現しているのが凄いと思います。
kenoba辻健二郎建築設計事務所Instagram