『有田の家4』
何故この形にしたかを考えてみる。
敷地がゆったりとしていて
2階建てにすると敷地をもてあます(和歌山では比較的こういうことがある)。
素直に平屋が良い。
ただ、予算を考えると中庭型や凸凹が多い間取りにするのも上手くいかない。
長方形の間取りを前提に形を考える。
海から山を越えて風が吹き下ろす場所なので南側の軒先は下げておきたい。
その分、北側はグッと持ち上げて
北側の窓から落ち着いた光を取り込みたい。
漁師をされている旦那さんが獲った魚をさばくキッチンが気持ち良く開放感があって
その手元が北側の窓から入る光でやさしく照らされているのが絵になる。
二人とも料理をされるので二人がキッチンに立てるゆったりとしたスペースを確保する。
大きな窓に沿うようにキッチンを配置するイメージができる。
屋根は片流れとすれば
コスト、雨仕舞も良くいい回答になる。
開けている敷地の場合、
屋外⇔室内の間にバッファーゾーン(緩衝帯)となるスペースを設けたい。
雨風強い天気でいきなり室内に入る、室外に出るのでは何だか住みにくい。
玄関ポーチを大きくとって、玄関を入ったところに土間続きの納戸があれば
合羽や長靴も置いておける。
それでポーチと納戸を一つ屋根の下に納めて建物の外観を整えた。
書けば長くなりますが
こういう考えで形を作っています。
ポイントは生活シーンを素直に思考し素直に表現すること。

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