『六十谷の家2』
「ステンドグラスを考えたいんですが」とご相談を受けた。
ステンドグラスに対しては装飾的なイメージが強くあまりピンとくる作品を見たことがなかった。
縁遠いものだと思っていた。
唯一、安藤忠雄さん設計の
司馬遼太郎記念館でみた、
色の無いステンドグラスが印象的だったので打合せでその話をさせて頂いた。
一般的にイメージするカラフルなステンドグラスではなくて
ステンドグラスを光を透過させるフィルターとして解釈し直して、
ステンドグラスを通して室内に入る光の拡散やムラ、風景をぼかす効果が
とても印象的だったことを話させて頂いた。
こういう使い方もあるんだなぁと深く記憶に残っていた。
後日、お施主さんから
アトリエ・アゴというステンドグラスを専門にされているアトリエに
依頼しましたという話を聞きその作品を楽しみにしていた。
司馬遼太郎記念館の作品もアトリエ・アゴさん製作。
玄関入ると直ぐにはめ込まれたステンドグラス。
南側に向くその窓を光が透過してヒノキの床板に泡が落ちたようなとても自然でやさしい影を落とす。
部分的に配置された色ガラスの色がそこに混じりなんとも言えない
暖かさが漂い、これはすごいなぁ~とじっと見てしまう。
小さな子供なんかだともっと何かを感じるんだろうなと思う。
アトリエ・アゴさんは、安藤忠雄さんはじめ村野藤吾さんや隈研吾さんと
いった一般的に知られている著名な建築家の作品も手掛けられていて
設置の際立ち合いさせて頂きましたが、色々な先生方との思い出話も聞かせて頂き
とても楽しい時間でした。また今度工房に遊びに行かせて頂きたいと思います。
■枠はステンドグラスの邪魔にならないようにグレーに着色しています
kenoba辻健二郎建築設計事務所Instagram