カテゴリ:『京都の家』( 35 )

180119 合気道のように

『京都の家』

前面道路から1階の床まで1m5cmの高低差がある。
敷地を大きく削り、道路の高さに合わせると計画は簡単になるが
敷地条件が建物に反映されず、場所と建物が切り離された馴染みの悪い計画になる。

日本建築の醍醐味は
小気味良く分割された屋根が段違いで重なるところにある。

それは合気道のように
敷地条件を無理なく受け流した結果のあらわれで
無理がないから自然とその場に馴染む。

■道路側との間に擁壁を兼ねた壁を設けることでプライバシーを守りながら段差を解消している
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by tsuji-chika | 2018-01-19 09:03 | 『京都の家』 | Trackback | Comments(0)

180112 「既製品」と「つくること」

『京都の家』

「既製品」のカタログを見ながら
これでお願いしますと、えらぶことが一番簡単で間違いがない。

工期も短くなれば、だいたいの仕様ではコストも下がる。
では既製品の組み合わせで良いではないかと話はなる・・・。

それでも「つくること」に意味を見出して頂けることで、未だに家具や建具を一からつくることができる。

では、「つくること」のメリットは何なのか?それをずっと考えている。

「既製品」の図面には、その置かれる場所の周辺の情報が描かれていない。
不特定の場所に置かれることを前提としている以上、まわりの情報があるとかえって混乱を生む。
その商品単体、設備機器であればそれに接続される配管程度の情報があれば
成立するように図面が描かれている。
つまり、その商品単体が独立して成立している。

一方、つくる場合。
その場所専用の仕様になるから
使う人の身長、置かれる物、他の素材との関係、照明器具を組み込むといった
その場に応じた仕様を決めることができる。
打ち合わせでは、監督、大工、建具、家具、左官、電気、設計士と関係する
工種が集まり、お互いの立場で意見を言い合いひとつの形が生まれる。
建具屋と家具屋が使う素材を共有したり、
大工が適切なタイミングを指示することで家具屋は余計な逃げを設けずに
ぴったりと壁の中に家具を納めることができる。

「既製品」は横のつながりを分断することで広範囲な場所に適応するのに対して
「つくること」は、その場に合わせる為に横のつながりを意識せざるを得ない。

結果「つくること」で生まれる空間には、全体として調和がとれた空気が漂う。

それを考えると「つくる」場合はひとつひとつが控えめであるべきで
調和を無視してつくってしまうと「つくること」のメリットが生まれないとも言える。

■洋と和で分断されないように「つくること」で全体の調和が保たれた
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by tsuji-chika | 2018-01-12 09:16 | 『京都の家』 | Trackback | Comments(0)

180110 つながりと気配

『京都の家』

外と内との間、部屋と部屋との間
ただ、透明な硝子だけが何も隠すものはありませんよと存在するだけでは
気配は生まれない。

ほどほどに隠して
ほどほどに距離感を作って
必要に応じて調整して。

つながり方を想像して
デザインに落とし込む。

不動産である建築の中で
唯一、動きのある建具。

奥行きたった数cmの間が生みだす
気配は建築を豊かにする。

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by tsuji-chika | 2018-01-10 08:47 | 『京都の家』 | Trackback | Comments(0)

180109 階段

『京都の家』

階段は、壁や天井がつくる水平の輪郭に対して斜めにそれをつらぬく。
唯一の斜めの線。だから、建築において階段はひとつの見せ場になる。

それがリビングに下りてくるとなると否応無しに手が抜けない。

階段が1階の床に着地する足元を100上げ、踊り場を設けた。
この100の段差は、結界として機能し
奥の書斎や2階がプライベートな空間だと印象付ける。

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by tsuji-chika | 2017-12-23 10:36 | 『京都の家』 | Trackback | Comments(0)

171216 つくる

『京都の家』

すべてに寸法がある。

r壁の曲率、タオル掛け取り付けの為の横桟の高さ
間が抜けない格子の割付、強度を担保しつつ繊細に見せる為の階段の手摺
天井高さにぴったりと納まる建具、タイルの割付と板巾の割付それにからむ電気設備のレイアウト。

すべて図面に落とし込み
職人さんに現場で再現して頂く。
それがあたり前だと思い図面を描き続ける。

時には既製品を選び
だいたいで付けておいてと言えればどれ程楽かと頭をよぎる。

それ程手間を掛けるのだから、自己満足に陥ることなく
作業を共にして頂いた職人さん達が
その仕事を見て「どうだ」と誇りに思える仕上がりにならなければ意味がない。

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by tsuji-chika | 2017-12-16 16:25 | 『京都の家』 | Trackback | Comments(0)

171215 内と外をつなぐ

『京都の家』
部屋の中から、その家の外壁が見えることで広がりを感じさせ、
外部が介在することで、「一体向こうはどうなっているのだろう?」と想像力が刺激される。

視線を移すことで内部と外部が重なり様々な景色が生まれる。

内と外が視覚的に分断されないように、外壁と内壁を同色の左官で仕上げた。
引き込み戸を開け放つと壁が外部まで連続して内と外がつながる。

内は内、外は外と切り離して考えていてはこういった見え方は実現しない。

■すごく良い仕上がりになっています
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by tsuji-chika | 2017-12-15 10:58 | 『京都の家』 | Trackback | Comments(0)

171213 適切な影

『京都の家』

大きな家になったところに
光が均等に入るように計画してしまうとただただ単調な空間になってしまう。

山中湖の家(http://tsujichika.exblog.jp/i6/)を計画している時
たくさんの別荘を見学させて頂いた。
その時に感じたのが絞ることの大切さ。
ガラス張りの開口部は、客人にとっては珍しくて良いが
日差しのきつい山中湖では住む者にとって強いストレスとなっていた。
開口部を絞り、適切な影が作られた別荘程、とても居心地が良かった。

■部屋の用途に合わせ開口部を決める
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by tsuji-chika | 2017-12-13 15:16 | 『京都の家』 | Trackback | Comments(0)

171205 風致地区について

『京都の家』

『金閣寺周辺特別修景地第3地区』に該当する。
金閣寺の近くに建つのだからそれに相応しい意匠にすべしという規制。

具体的な項目(2017年時点)としては
●屋根勾配3~4寸
●軒の出は600以上、けらばの出300以上
●原則:瓦葺きに和風外観とする。

計画としては上記を抑えた上でスタートを切らなければならない。
その上で申請を出して返ってきた指摘事項としては
●天窓はその屋根面積の2%以下
●チタン屋根は不可。板金は銅板のみ。
●軒裏も屋根と同じ勾配とする。
●総2階建ちは不可。1階より2階が900以上セットバックが必要。
●バルコニーには屋根を掛けること(けらばの出でもOK)。
●外壁色原則白は不可。但し漆喰のみはOK。
●塀の仕上げに対しても意匠規制あり。
●特異な屋根形状は不可。
※上記については、意匠性が優れていると判断され緩和される項目もあります。

そして何よりも大変なのは
京都市との協議にすごく時間が掛かること。
知り合いの設計士が言っていたことを思い出す。
「京都の街中ではなかなか建物は建たない・・・。」

■敷地高低差を利用し場所ごとの屋根の高さを変え、
リズム良く屋根が重なることで奥行きを感じられるように計画しています。
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by tsuji-chika | 2017-12-05 09:29 | 『京都の家』 | Trackback | Comments(0)

171101 水平方向に低く、低く

『京都の家』

車の形をイメージするとわかりやすい。
スポーツカーの形は重心が低く、水平方向に広がっていく。
スピードを出す為に必要な形だが、同時にかっこ良さを生み出す。

住宅における重心はなるだけ低い方が居心地が良い。
特に、床座で室内で靴を履かない日本では尚のこと。

重心を下げる為に、コンセントやスイッチの位置を下げたり巾木を小さくしたり
細々したしたテクニックを積み重ねる。ペンダント照明の高さを低めにするなどは空間に与える影響が大きい。

外壁と内壁の仕上げを同色の左官にする。
引き込み戸の建具を開けると視覚的には壁が一続きとなる仕掛け。
横に広がり、つながりをつくることで相対的に重心を下げる。

■大工工事もほぼ終わりダウンライトの穴開け仕上げに入っています
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by tsuji-chika | 2017-11-01 08:55 | 『京都の家』 | Trackback | Comments(0)

171017 ゆらぎ

『京都の家』

自然素材と、工業化された製品の違いは何かをずっと考えている。
感覚的ではなくうまく説明できる言葉を。

ある本ではそれを『ゆらぎ』という言葉で表現されていた。

「銅板」は、雨に打たれ色が変わる。雨の当たり具合により色がまばらになる。

「瓦屋根」は焼き具合による色むらがあり、一枚一枚同じようにとりつけても均質ではなく多少のズレが伴う。

「柿渋」は木の種類により、濃淡が生まれ、均質な色にはならず、経年変化も進行速度もまばら。

「左官」の土壁は4層塗り重ねることで奥行きが生まれ、職人の手により微妙なバラツキが生まれる。
(吹付のスプレーガンを使う場合はこのバラツキは生まれない。)

この、ばらつきや不均一、微妙なズレを総じて『ゆらぎ』と言うらしい。

均一化を突き詰め、すべてをコントロールしようとする工業化された製品は
行き過ぎると息苦しくなる。

人は『ゆらぎ』を知覚し、それを拠り所に情緒や、落ち着き、居心地の良さを感じ取る。

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by tsuji-chika | 2017-10-17 13:58 | 『京都の家』 | Trackback | Comments(0)