『六十谷の家2』
この場合のつくるというのは、既製品をカタログで選んでポンと取り付けるのに対して 図面を描いて、その場に合わせて大工さんや建具、家具屋さんに製作して頂くことを指します。 誤解を受けやすいのですが、何が何でもつくらないと駄目と思っているわけではなくて 適材適所、システムキッチンやユニットバスも当然使うし柔軟にとは思っています。 その上で何故つくるのかについて改めて考えてみると 建具や家具といったものを空間をつくる重要な要素として捉えているからだと思います。 つまり、家具で部屋を区切ったり、建具一枚で雰囲気を変えたり、室内の調和を整えたりと それぞれが持つ意味や効果を考えていくと、どうしてもつくった方が馴染む。 それじゃぁ、すべてが揃うパナソニックやリクシルといったメーカーで統一すれば 良いじゃないかというのもごもっとも。見た目としては馴染む。 ただ、空間をつくる要素としてはどうしても弱いというか融通が効かない。 既製品の宿命として、当然の話で規格化するからコストメリットも生まれるし、 カタログにまとめられる。 いちいち壁の取り合いや、電気屋さんとのことを考えていては 結局オーダーメード化してしまう。 3Dプリンターで作る住宅が普及すれば、そういった考えも過去のものとなると思いますが しばらくは『つくること』と『既製品』という間でバランスをとりながら(葛藤しながら) やっていくことになると思う。 色々と悩みながらですが やはり、仕上がってくると考えて良かったなと思う。 ■障子の桟の寸法やテーブルの奥行き、コンセントの位置一つ一つを決めていく ■監督さんによる素晴らしい施工図があってできた階段 ■納まるとすんなりという印象ですが手摺の納まりなどは綺麗にできたと思います ■何度打合せを重ねたかわからないキッチン(笑) ■和室への入口の高さは5尺7寸⇒日本建築の基本となる鴨居高さにしている ■ここをくぐるときに日本建築を感じて頂ければという仕掛け kenoba 辻健二郎建築設計事務所 #
by tsuji-chika
| 2022-12-12 18:15
| 『六十谷の家2』
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『六十谷の家2』
ヒノキの床、独特のほのかな香りが嗅覚を刺激して ピンクがかった表情は優しく光を反射する。 焼き物タイルと左官の壁。障子越しに拡散された光が室内に漂い 光の温かさ、香り、湿度、そういった視覚以外に五感で受け取るなんとも言えない落ち着いた雰囲気。 作業している職人さんも穏やかな表情で和やかな空気が漂う。 pinterestやInstagramといった視覚情報だけでは得られない もっと本質的に豊かな感じ。 じわぁ~っと染みる。これは体感して頂かないと伝わらないのが残念。 ■派手さはないですが柔らかく温かい空気が漂っています kenoba 辻健二郎建築設計事務所 #
by tsuji-chika
| 2022-12-10 21:09
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『六十谷の家2』
「この場所なんなんですか?」と来る職人さんに度々聞かれる。 本を並べてゴロゴロする場所ですと答えると「へー面白いなぁ」と納得して頂ける。 リビングやダイニング、書斎や脱衣室といった 便宜上図面に書く室名というのはそこで想定される使われ方をあらわしているので 誰もそれに対して「?」がつくことはない。 しかし、今回のように『前室』という不思議な室名することで このような質問を度々受けてしまうことになったのは興味深い。 この『前室』という室名は過去にも考えたことがあって(上の家) 玄関とリビングをつなぐ間の部屋として位置付けているのは今回も一緒。 どちらも、家の個性となって来る人に興味を抱かせている重要な空間になっている。 リビングやダイニングをどうするということは凄く大事なのですが それらをどうつなぐかということ、連続した中でどのような関係性で成立させるかを 考えていくことは実はもっと重要だったりする。 建具一枚でもそのつなぎ方を演出できるし、家具でそれを区切ることもできる。 リビング、ダイニングと2つの室名だけで考えているのとは違い それらを分解して、掘り下げて考えることでそのバリエーションは無限に展開する。 そう考えるとまだまだやれることがたくさんあって凄く面白い。 ■ブラウンのクッションが入りました。玄関とリビングの間に設けられた前室。 ■引き戸を閉めると部屋になります ■腰高収納の上には読書灯としてスタンドライトが置けるようになっています。 ■リビング側から前室を見る ■壁は薩摩中霧島壁(左官)・天井は珪藻土クロス ■収納の中にはたくさん本が入ります kenoba 辻健二郎建築設計事務所 #
by tsuji-chika
| 2022-12-09 10:33
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『六十谷の家2』
「ステンドグラスを考えたいんですが」とご相談を受けた。 ステンドグラスに対しては装飾的なイメージが強くあまりピンとくる作品を見たことがなかった。 縁遠いものだと思っていた。 唯一、安藤忠雄さん設計の司馬遼太郎記念館でみた、 色の無いステンドグラスが印象的だったので打合せでその話をさせて頂いた。 一般的にイメージするカラフルなステンドグラスではなくて ステンドグラスを光を透過させるフィルターとして解釈し直して、 ステンドグラスを通して室内に入る光の拡散やムラ、風景をぼかす効果が とても印象的だったことを話させて頂いた。 こういう使い方もあるんだなぁと深く記憶に残っていた。 後日、お施主さんからアトリエ・アゴというステンドグラスを専門にされているアトリエに 依頼しましたという話を聞きその作品を楽しみにしていた。 司馬遼太郎記念館の作品もアトリエ・アゴさん製作。 玄関入ると直ぐにはめ込まれたステンドグラス。 南側に向くその窓を光が透過してヒノキの床板に泡が落ちたようなとても自然でやさしい影を落とす。 部分的に配置された色ガラスの色がそこに混じりなんとも言えない 暖かさが漂い、これはすごいなぁ~とじっと見てしまう。 小さな子供なんかだともっと何かを感じるんだろうなと思う。 アトリエ・アゴさんは、安藤忠雄さんはじめ村野藤吾さんや隈研吾さんと いった一般的に知られている著名な建築家の作品も手掛けられていて 設置の際立ち合いさせて頂きましたが、色々な先生方との思い出話も聞かせて頂き とても楽しい時間でした。また今度工房に遊びに行かせて頂きたいと思います。 ■枠はステンドグラスの邪魔にならないようにグレーに着色しています kenoba 辻健二郎建築設計事務所 #
by tsuji-chika
| 2022-12-07 16:39
| 『六十谷の家2』
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『有田の家4』
壁・天井に反射する光。 特に白基調で空間を仕上げた場合、 陰影の濃淡だけが空間にメリハリを付けます。 そのメリハリを意識して、窓の大きさや配置を決めたり 家具で目隠ししたりとそれはそれで技術というかセンスが必要になる。 この感覚は特に写真を撮ると鍛えられるような気がするのが 実感としてあって建築家、齋藤裕(さいとうゆたか)が撮った TOTO出版シリーズの本、バラガン、カーン、アアルトは 陰影を意識する設計を志す者は必ず本棚に入れておきたい 作品集としても、建築写真集としても優れた三点セットだと言える。 そもそもどういう視点で建築を考えているのか、見ているのかっていうのは 写真を撮ればわかるもので ある設計士が撮るSNSの写真が普段の視点をはかるバロメーターになると言える。 ■常に次の空間を感じさせる光をつくっています kenoba 辻健二郎建築設計事務所 #
by tsuji-chika
| 2022-12-02 11:27
| 『有田の家4』
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